だれが物語をつくり、誰がそれを再び語るのか?

だれが物語をつくり、
誰がそれを再び語るのか?

BBCは、もし重大な犯罪事件ならば、警察発表を分かり易く再構成してみて寧ろ不明な点を次々に明らかにしようとします。これに慣れると、日本の新聞とテレビがまず検察の発表をあたかも'事実'のように伝えることに異様さを感じます。酷いのは、そこで被告人の'犯行の動機'すら語られること。最後に付け足しのように紹介される、弁護士の反論がなにか'言い訳'のように扱われていますよ。これでは、検察が捏造した物語に沿って新聞がそれを再び語り、さらに作家が検察の物語を深読みした、戦前の「大逆事件」から変わらず、ですね。過去の冤罪事件をひとつでも読むと、ードキュメント映画でもいいのですがー、検察の物語がコンパクトな商品のように流通し場合によっては処刑を合唱させることになった全体像を知ることができます。そこで、いかに日本の司法当局が特殊であるか、世界から孤立しているのかを考えてみる大切な契機となるでしょう。