注釈学の思考とはなにか?

注釈学の思考とはなにか?

注釈学の思考は民主的に、書くことの痕跡、つまり原初的テクストと翻訳とそれを解釈した言葉から成り立ちます。書くことの痕跡から、読み手は、過去の書き手がいかに読んだかを知ることができます。ところが解釈を書く国家において生じるように、自らの言葉しか読まない権力は、痕跡を消し去ってしまうのです。痕跡を消去し尽くさないと、起源の物語を捏造・作文できないからだが、そうして自己のために書く国家の場合は、起源にあったと解釈する、自らのために祀る国家の存在を導き出してしまうのです。そうして解釈を書く国家は、大逆事件の幸徳を記し、甘粕事件の大杉を記したのだが、このやり方は、「古事記」の国家の起源を記してきたのとまったく同じものだといえます。