白紙の本 (5)

 

白紙の本は、散歩へ行くー

一国語で書かれた文の意味を眠らせるために

問題は何を消すのか?そこに何を何で書くのか?

平仮名を消したとき、つまり流れを切断したとき

別の流れに加わる、粒子の飛翔のような漢字たちの沸騰。

まだ市民を語る言葉としては、

五百年間喋り続けた ヨーロッパのアルファベットと比べると

それほど饒舌ではないが、 代数学の記号ほどには無口でも透明でもない。

なににしても、知の宇宙の机から、思想の直線を書くとき、

ただひとつの啓蒙の中心へ向かってひくのではなく、

多数の啓蒙の領域を横断すること。白紙の本のために、

知られざる民主主義を、東アジアの運動する粒子たちを沸騰させるために