白紙の本 (6)

 

奇妙な観念に囚われるー

テレビで中継された戦争の勝利で湧くこの国で、

詩というものが悉く消滅しつくし、

映画が投射されていたことを思い出すことが禁じられる近未来のこと。

歴史修正主義。映画は最初からテレビで見られていたと洗脳される。

ヨーロッパでいわれるコスモポリタンヒューマニズム精神は何か?

アメリカの戦争にくっついて行くヨーロッパにあって、

本当にそういうものがあるとして、まだそれが意味をもつのかと疑うとき、

オリヴェイラ監督の作品をみて考えたものだ。

映画の、 説明不在の、光に浴たす、壮麗な記号たちの飽和。

問われるべきことは、消滅した投射、スクリーンは、

ふたたびどこに現れるのかということである。

白紙の本でなければ