民主主義はまだ存在しているのか?

民主主義はまだ存在しているのか?

「民主主義は死んだ」という民主主義の存在を否定する意見がある。たとえば戦後民主主義が自らが継承者とする、治安維持法大正デモクラシー日比谷公園焼き討ち事件から満州事変へ至る戦争体制の統制でしかなかったとみなす論者は、(民主主義があったことを全面的に否定するかわりに)、大正デモクラシーがそれほどデモクラシーだったのかという疑いをもって、民主主義の存在の否定の証明とするだろう。他方、「民主主義は死んでいない」とする民主主義の存在の否定を否定する見解がある。たとえばガーディアン紙が「敗戦後70年めにして、日本は強行採決する法律で、戦闘する兵隊を海外に送ることに」というときは、海外の影響力のある一新聞からみれば、戦前40数か国と戦争した天皇ファシズム大東亜共栄圏の国体体制をやめた民主主義に一定の成果があったことを一応承認していることを前提にしているとおもわれる(ただし朝鮮・ベトナム・沖縄を犠牲にしたことは触れられていない)。さて、どちらの見解が正しいのだろうか?わたしの考えでは、どちらの見解も正しい。つまり、民主主義の存在を否定する意見は証明できないし、同じ程度に、民主主義の存在の否定を否定する意見も証明できないのである。結局、民主主義が存在したかどうかは、民主主義について語る人が決めればよい。結局、民主主義とはなにかという問いが、現在それを語る主体たちに感化を与える意味が問われるのである。現在、われわれは、「他の道はないのか?」と問う質問の自由が保障されている開かれた社会に生きているとは絶対におもえないのである。ここでいわれる質問の自由は外国人・マイノリティの質問する自由が含まれていることもまた絶対に忘れてはならない