思想史 ーアナキズムから読む

アナキズム

後期資本主義における七〇年・八十年代のアナーキズムは、敢えてマルクスのもとで宇宙論的に物語ることをおこなった。そこで理論的に、ノマド的ウロウロウヨウヨから、互酬性と構造の知を切り離すことに努めたのである。グローバル資本主義の九〇年代のアナキズムがとらわれるのは、ポスト資本主義のユートピアであろう。現在のわれわれに影響を与える形で、ふたたび互酬性 (交換様式D)と構造(世界史の構造)を物語るヘーゲルの思弁的知へ後退してしまった。21世紀10年代アナキズムは、近代が定位する互酬性と構造の知に依ることなく、ワイワイガヤガヤと語る東アジアのカント (仁斎)を見出していく。だが白紙の本から、われわれ一人ひとりは一行一行なにを書くのか?20世紀の全部が役に立たなくなった。21世紀の機械仕掛けの正確さで隙間なく包摂してくる全体主義をまえに、われわれはなにも知らない。地球規模の包摂に抵抗する主体として生きるために、他者から学ぶだけであるー