アルファベットの意味とはなにか? ー デリダ (Derrida) のアルファベットと絶対的代理

アルファベットの意味とはなにか?
ー アルファベットと絶対的代理 L'alphabet et la representation absolu

「アルファベット文字は、直接的にはいかなる言語も語らぬがゆえに、すべての文字(エクリチュール)のうちで最も無言である。しかし、声とは無関係でありながらそれは声にいっそう忠実であり、声をよりよく代理(表現)するのである。」’L'écriture alphabétique est la plus muette qui soit, puisqu'elle ne dit immédiatement aucune language. Maid étrangère à la voix, elle lu est plus fidèle, elle la représente miex.’
デリダ (Derrida)は、アルファベットの絶対的代理性とかれが呼ぶものを、貨幣と比べています。('恣意的記号の流通における分析的抽象化のこの運動は、まさに貨幣を構成する運動と並行的である'。Ce mouvement d'abs...traction analytique dans la circulation des signes arbitraires est bien parallèle à celui dans lequel se constitue la monnaie.) たしかに、日本語の話し言葉に、例えば音素としてのDが直に現れることはありません。だからこそかえって、Dは他のアルファベットの配列と共に、外部から、話し言葉を代理(表現)できてしまうというわけです。(実は同じことが英語についてもいえます。) 同様に、貨幣が貨幣として成り立つのは、貨幣が商品(と呼ばれることになる諸対象)と無関係だからです。そうして「貨幣が同じ尺度で計れぬ諸対象に共通の尺度を与えてそれらを商品として成立させる」のです。デリダはこれを「定理と劇場」の前で論じていることに注意したいとおもいます。アルファベットのかわりに五十音でかんがえてもらっていいのですけれど、(舞台で想起されるような) 共同体の声の力と(ルソーの)人民意思、この両者は、文字の絶対的代理において互いに切り離せない関係にあることが語られていきます。映画の場合は演劇と差異化するために、アルファベットを介入させていきます。ゴダールが常に文字を書いたサイレント映画を喚起しているのはこういう理由からです。

D
E
C
O
NSTRUCTION

 

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