パリ同時爆破事件の意味

パリ同時爆破事件の意味

2005年ロンドン同時爆破事件では、当初はイギリスが戦争している勢力による組織的テロだと一方的に報じられたのですけれど、国外で軍事訓練をうけたアラブ系「イギリス人」が実行犯だということがわかってきました。中には小学校で先生として働いた人物もいたのです。外部から潜入してきた兵士のマッチョなイメージではありません。ここから、アフガン・イラク戦争を契機に一層広まってきた、人種差別と格差にたいするアラブ系「イギリス人」の怒りが動機だったのではないかということが論じられるようになりました。真相はわからないままです。パリではどうなのか?爆破事件がおきたとき、やはりロンドンの場合と同じように、「フランス人」が実行犯ではないかということを私は予測していました。というか、ロンドンで起きたことは、パリで起きるということは時間の問題だともいわれたのです。フランス国籍のベルギー人について詳しい事実関係はわかりませんし、限られた情報から間違ったことをいうかもしれませんが、「イギリス人」の実行犯の場合のように、都市の人種差別と経済的格差を背景とした、過激な宗教組織に入った「フランス人」の全体像がこれから明らかになるのかもしれません。大切なのは、パリ同時爆破事件の意味です。パリ同時爆破事件について語るときに、もっぱら宗教的話題に絡み取られたらそれはアナクロニズムです。事件の意味をかんがえるときに、グローバル資本主義の時代の動乱としての性格、いいかえれば、グローバル資本主義がもたらした不均衡の問題、グローバルデモクラシーの危機の問題を無視してしまうことは無理だと思います。