エーコを称えましょう!

エーコを称えましょう!

エーコはジョイスについて積極的に語りました。エーコは彼の「フィネガンズウエイク」を宇宙劇場の鏡とみなしました。だけれど、本というものは、鏡として存在すると言われていることとは正反対に、鏡という形容によって隠ぺいしなければいけないほど、なにも書かれていないし読むことができないのかもしれませんがね ...。▼In the domain of language, every organization or reoreganization of signifier entails a restructuring of the semantic system は、残された抵抗は意味を生産するしかないということを言っていますが、「フィネガンズウエイク」の本としての意味は最近やっと実感してきたかな?▼それにしても、国体的な日本精神の復興みたいなことを一斉に言い始めた現在よりも、この翻訳が出た2010年のほうが希望があったわけで。▼もしかしたらこの危機の時代を最終解決する方法として正しいとしても、(絶対に信じられない!)、精神の不平等と隷属化をもたらす、ポストモダニズムのモダ二ズム化という全体主義へのノスタルジーと'美しい日本'でいわれる皇国史観的なものへの回帰にたいして、これらを脱構築する意味を書くこと・生産することをやめないという孤独な意志しかないわけで...▼なにも約束されない未来を生きることと白紙の本を書くことのあいだにはもはや区別がないのではないかと想像しています。