大正は可能性の中心だった。
直接行動論という無媒介の思想を、
私はモンタージュの孤独と呼ぶが、
国家が抹消し社会主義者が忘却したので、
天皇制国家の民主化という映像が到来しなかった。
そこから大衆的国民の1930年代は市民なき孤立への道だ。
ファシズムのクローズアップと大きな人間への拍手しかなくなる
子安宣邦著「大正」を読み直す
目次
1、なぜいま大正なのか...
▼「大正デモクラシー」
▼「日比谷事件」という始まり
▼「大正」と「大衆社会」の成立
▼「大衆社会」論再考
2、「大逆事件」とは何であったのかー田中伸尚「大逆事件ー死と生の群像を読む」
▼なお「大逆事件」はある
▼「大逆事件ー死と生の群像」
▼一人の連座者の死
▼啄木の証言的記録
3、「大逆事件」 その物語と証言
▼「日本文壇史ー大逆事件前後」
▼「大逆事件」の書入れ
▼新宮における佐藤春夫
▼「革命伝説 大逆事件」
4、幸徳秋水とアナーキズムー「直接行動論」とはなにか
▼幸徳の「直接行動論」
▼「直接行動論」の抹殺
▼<パンの要求>の直接性
▼アナルコ・デモクラット
5、大杉栄と<無類の思想>ーい大杉を読むこと
▼大杉に出会う
▼<部類の人>大杉
▼「世論」という殺害
▼いま大杉を読むこと
▼「直接行動論」再考
6、大杉栄と二つの批判的先見性
▼ウクライナ
▼大杉の怒り
▼「民本主義」とは何か
▼「民主主義の寂滅」
7、河上は<貧乏>を再発見したかー河上筆「貧乏物語」を読む
▼「貧乏物語」があった
▼二つの「貧乏物語」
▼<貧乏>という概念
▼'Poverty'の再発見
8、河上は「貧乏物語」をどう再発見したかー河上筆「第二貧乏物語」を読む
▼「貧乏物語」の理解
▼「貧乏物語」の絶版
▼「第二貧乏物語」へ
▼なぜ「第二貧乏物語」なのか
9、<貧困・格差>論と「資本主義」の読み方
▼「資本論」ががすであること
▼「資本論」をすでにもつ「貧困問題」
▼「21世紀の資本」の<教訓>
▼ブローデルと「資本主義」
10、「神代史」は「作り物語」であるー津田左右吉「神代史の研究」を読む
▼「神代史」は「作り物語」である
▼「神代史」研究の<方法的前提>
▼「神代史」は言説上に構成される
▼「神代史」と「物語の原形」
▼「神代史」の三つの中心点
▼「神代史」に民衆はない
11、津田「神代史」研究と<脱神話化>の意味-津田左右吉「神代史の研究」の再読
▼「神代史」の<脱神話化>
▼二重の<脱神話化>
▼宣長と津田
▼<再神話化>と<脱神話化>
12、和辻哲郎と「古事記」の復興復ー和辻「日本古代文化」論と津田批判
▼偶像の破壊
▼偶像の再興
▼津田の記紀批判
▼偶像の再構築
▼「古事記」の復興
▼日本民族の呼び出し
13、大川周明と「日本精神」の呼び出しー大川周明「日本文明史」を読む
▼「日本精神」という語
▼「世界史」と「日本精神」
▼世界史を経緯する二問題
▼<アジア的原理>は世界を救うか