「このような未来先取り的、予感的、先走り的な時間制の構造は、さきの「ポスト-フェストム」概念と対置する意味で、ラテン語で「祭の前」を意味する ante festumの語で言い表せるのではないかと思う。もともと、この「アンテ-フェストム」の概念は、ルカーチがブルジョワジーのイデオロギーを「ポスト-フェストム的意識」と規定したのを受けて、j. ガベルがプロレタリアートのイデオロギーを名づけた「アンテ-フェストム的意識」の概念にヒントを得たものである。ポスト-フェストム的時間性を特徴とするメランコリーないし非分裂性妄想病がブルジョワジー的にな意識性に、アンテ-フェストム的時間性を特徴とする分裂病がプロレタリアート的な意識性に、より多くの親近性を示すことは、決して偶然ではないだろう。」(木村)