「賢人エラスムス美女に見惚れて女商人の卵籠に足を踏み入れる」

 

本多 敬さんの写真

同じく、神田の古本屋の前の箱の中をのぞいたらあった本。「賢人エラスムス美女に見惚れて女商人の卵籠に足を踏み入れる」というのは、わろた。ドン・スコトゥスについての記述があるんだね。いかに彼を喰らうかヾ(@⌒ー⌒@)ノという説明が添えられた挿絵があった。反芸術性を利用した反教訓的な説教集。絵は面白いが、訳がちょっとね、いくら偉い先生によるものでもね。これでは朱子を読むときの堅苦しい神妙さな気分になるというもの。ブリューゲルの絵の中の遊びの意味が殆どわからなくなっているように、エラスムスの二重、三重の皮肉の意味も解読できていないんじゃないのかな?日本の新聞にも風刺の精神に似た文学的ものはあるけどね、退廃的芸術あるいは反芸術に結びつくことはなく、逆にその反対の方向に向かって、職人的器用さという官僚的芸能に同化しちゃう。文学の仕事は、アイリッシュの政治家(首相だったかな?)いわく、double-meaning をこしらえること、それは性と芸術と変容の言説から揺り動かすアイロニーでなくちゃね。

 
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