柄谷行人に問う ― あなたが頼りにしているまさに「文化」から起きてきた戦前ファシズムの体系的進行のことを知らないの?

柄谷行人に問う ― あなたが頼りにしているまさに「文化」から起きてきた戦前ファシズムの体系的進行のことを知らないの?

ジジェクがロンドンの聴衆に言っていた言葉を時々思い出すのだけれど、自分が生きているこの社会はこんなに生きづらいのかという疎外の原因を常に明らかにしていく責任が知識人にある、と。ここから問題解決がはじまるという。ところが、柄谷行人が、無意識に根ざした日本人の「文化」簡単に変わらないから、安倍の9条改憲は挫折すると予言するのはまるで、目をつぶっていれば自ずと世の中の災いが過ぎ去っていきますから心をただして静かに待っていましょうというような、なーんか、いかにも日本っぽい発想なんだよね。そういう発想のもとで、結局ファシズムには有利な方向で、ますます消極的になっていくだけだよ。もっとも柄谷が言うには日本はずっとファシズムだからファシズムのことを心配しなくていいというんだけどね。でもこういう言い方が、かつて丸山真男戦争責任のあったファシスト達を見逃したように、柄谷が頼りにしているまさに「文化」から起きてくるファシズムの体系的進行ー安保法制による軍事的国家化、伊勢・靖国国家神道的復活、教育内容についての国家的介入、隠微に進められる言論統制、国家の軍事化ーを見逃してしまうことにならないだろうか?