「EU離脱」?のイギリスを読む

 

ロンドン時代の私の詩の先生であったパスカルーフランスの市民権でをもちイギリスのパスポートをもつ女性ーは、もしこのまま反移民感情のEU離脱法が通れば、イギリスの滞在が許されなくなる可能性があるとネット上で訴えています。人口の5%にあたる300万人ぐらいのこういう立場にある方々は、イギリス人の家族、友達、恋人、学校の先生、学校の同級生、会社の同僚、医者と看護婦として暮らしているというのに、なんということでしょうか ! それにたいして反対しようにも投票もできないというのです、 権利がないから・・・

 

 

EU残留支持派の英議員 撃たれ死亡。一部メデイアによると犯人が国粋主義的な言葉を発したとも。英国は大陸と比べて極右の議会進出がないと誇る保守党の楽観的見方に労働党は反発してきました。保守党とは貧者たちの革命で自分達の財産が奪われようにと法の支配を言う政党で、極右も嫌いだが、現在彼らと共にEU離脱の方向をみています。最近は、2009年までいたイギリスのことをきかれることが多くなってきたのですが、正直何を言うべきか絞れないでいますが、マルチカルチュアリズムの推進者であったロンドン市長のリビングストーン(労働党)が落選したというところから現在がはじまっているといえるでしょうか。マルチカルチュアリズムの危機のなかで、しかし移民系の人々はリビングストーンに票をいれました。ワーキングクラスの労働党に対する不満が深刻でしたが、保守党候補者に投票することは起きませんでした。ただ分散したのですね。極右が影響力を発揮する選挙でした。そうして新しい市長として現れてくるのが、ボリスです。今回イスラム系の労働党候補者に敗れましたが、EU離脱派を強硬にいう中心の一人です。EUというのは、イギリスにとっては、文明のヨーロッパです。実際に学校とか病院、食料の安全など、EUのレベルが非常に高いのです。BBCはべートヴェンをよく流すのですが、なんいといってもべートヴェンはEUのシンボルですし、そうして恐らくはBBCは野蛮な国民(失礼!)を啓蒙しているといわれます。イギリスは、地球の半分を植民地にしていた大英帝国時代は過去のものです。アフリカの国々に援助する場合でも、現在はEUとの連携を通じてしか実現できません。一人当たりの国民所得でいうと、ヨーロッパの中ぐらいの一国でしかありません。イギリスが発言力をもっているようにみえるのは、国際報道とか大学とか、(アメリカとヨーロッパを媒介する)金融システムのことがありますが、戦後世界での軍事力と経済でイ二シアティブをとれなくなったあとに、人権を中心とした外交大国を確立したことによります。長い目でみると、今日のイギリスの外交はアメリカが引き受けるのだろうといわれます。オバマはそのはじまりです。そうすると、現在のIMFの理事国とかG7とかに、過去の栄光で依然とイギリスが席を占めているが、世界帝国の中国が入っていないようでは実効性のある影響力を打ち出せないのではないかという声が益々出てくることになるでしょうね。EU離脱となれば、スコットランドの独立が起きるといわれていますから、イギリスはどんどん小さくなるのでしょうが、グローバルな視点からその意味を考えると、アメリカ、EU、ロシア、中国という帝国の時代へのシフトの始まりのことをかんがえさせますね。しかし保守党と極右翼がすすめる民族主義国家主義という反移民感情のEU離脱法のその代償はなにでしょうか!?