問題は、英国のEU離脱というよりは、英国がEUが担っていたヨーロッパ諸国同士の戦争を避け言語と文化の多様性を重んじる多元主義から離脱しようとしているようにみえることです。

問題は、英国のEU離脱というよりは、英国がEUが担っていたヨーロッパ諸国同士の戦争を避け言語と文化の多様性を重んじる多元主義から離脱しようとしているようにみえることです。
そういう意味で、多様性に反した方向から移民排除の極右翼に助けられている、保守党の大英帝国へのノスタルジーに吐き気をおぼえます。
白人は黒人と呼ばれるアフリカ系の人々とまったく同じ姿をしているのに、おなじ人間と考えないと揶揄されることがあるのですが、こういうことは遅きながら1970年代から問題視されることになったといいます。しかしそういう帝国主義の時代遅れのオブセッションに囚われた時代に戻ろうとしているのですか?
東欧諸国を率いる「イギリスを中心とした...」という展開もあるのかもしれませんが、それが成り立つのは〈アメリカのイギリス〉となることが条件ではないでしょうか。アメリカはEUに対する自己の影響力を行使するためにイギリスを必要としているといわれるのですが、EU離脱の英国ならばそれほど価値のある国ではありません。実際にアメリカはEU離脱の英国を1カ国の主権国家としてしか扱わな...いとはっきり言っていますね。
軍事上の利用価値はあるでしょうが、そうであれば英国はイラク戦争のときのようにますます無理をして米国の戦争に肩入れすることになるのでしょうか。
2009年ロンドン開催のG20に抗議してシテイの中央銀行広場前を4000人で占拠して労働党の金融中心主義のサッチャー主義を止めよと訴えたときのこと、その数十倍の警官に取り囲まれるこのデモの中で抗議者の間で懸念されたのが、政策を変更できない労働党のかわりに保守党が政権を取るという最悪の未来でした。
確かに広場で心配されていたことが起きました。
EUのイギリスに来てこの国の福祉と文化に貢献している多くのひとびといますが、今度の国民投票に意思表明する機会も与えられなかったこの300万人が滞在することが難しくなりそうです。
テートモダンでの私の師であった、イギリスで育った、フランスの市民権をもつアジア系の詩人もイギリスを出なければならないといいます。

最後に注意したいことは、イギリスの現在が2012年のロンドンオリンピックの数年後に起きていることです。このような外部に対する拒絶の状況が、2020年東京オリンピックの後に、安倍政権の日本で何が起きてくる可能性を不気味に物語っているように思えて仕方ありません

 

 

ロンドン時事によると、キャメロン英首相は24日、国民投票欧州連合(EU)からの離脱が決定したことを受けて記者会見し、辞意を表明したといいます。このニュースの数時間前に書いたことですが、三年前にEU離脱の方向で国民投票を呼び掛けたのは彼でしたが、皮肉なことに、このキャメロン首相の最大の敵は、EU離脱を主張してきた保守党といわれています。これから何が起きるかは、残留を国民に説いているキャメロン首相が一番よく知っているでしょう。彼の辞任はこのことを裏付けているのではないでしょうか。世界はこれからどうなるのか?わかりませんが、アイルランドスコットランドは英国のEU離脱をどのように読むのでしょうか。ここから世界、とくにアジアを読む手がかりを得ることができるかもしれません。アイルランドからはじめますと、1970年まで自分達をヨーロッパ人だとまったく知らなかった(ましてやケルト人という言葉も一度も聞いたことがなかった)アイルランドについて語るときは根本的な価値転換を要しますが、単純に、イギリスと反対のことをしますから、(サッカーの観戦態度が良いと言われます...が、英国フーリガンに対抗しているだけのように(失礼!)、反抗児だったアイルランドはEUに忠実になっていくものとおもわれます。むしろ重要なのは、スコットランドの方向とおもわれます。独立論が高まるでしょうか。スコットランドの場合は、アイルランドを尊重しながらもそのナショナリズムに絡み取られた独立モデルを反省して、イギリスからの独立それ自体が重要ではなく、自立する方向性を重んじていると私は理解しているのですが、なんといっても北海石油権とEUの助けがないと自立は難しいといえます。間違いを恐れずに大胆に言ってしまうと、中国から自立していく台湾的なもの、日本と米国から自立する沖縄的なもの、そして議論があるとおもうのですが、議論を開く方向で敢えて書き出してみると、(もし北朝鮮のXデーのときですね、中国と米国をバックに、東ドイツを西ドイツが引き受けたように、韓国が引き受けるという説を聞いたことがあるのですが、もしそうならばという前提で)、その韓国から自立していく北朝鮮的なもの、こうしたもののモデルとして、グローバル時代をどう生きるかといういまのスコットランドの方向が非常に注目されるのだろうと思っています。

 

Referendum: Most London boroughs vote Remain but it's the votes outside the capital that seem to have sealed Britain's fate. The BBC predicts a Leave result.