国民投票の意味を読む (3)

一時的に起きるとして予想されていたが、英国通貨の急激な下落はこれほどとは?イギリス経済の深刻な長期的な低迷も懸念されている。イギリスはどんどん貧しくなり、ヨーロッパも弱くなっていく?英はEUへの離脱通知を見送るという。だが、いくら日本の報道をみても民衆がみえてこないのが苛立つ。Bregretという不満の噴出は経済の問題だけに向かっているのか?9月までキャメロンが辞めないことに人々は不安がない?EU離脱を訴えてきた保守党の内部では不安がないだろう。選挙のときは、労働党ならば千人の選挙ボランティアに相当するポケットマネーをもつ、ただ暇つぶしで議会を社交クラブの場とするような保守党議員一人一人にとって、民衆の生活などは最初から存在しない。ただ彼らブルジョアの関心には、名誉心とそれを高めてくれる戦争、それと高い税金を課せられることがないように、(自分達が作り出したと自負する)議会を預けている召使たち(労働党)を見張ることだけだ。イギリスはなにが問題となっているのか?英国はブリュッセルのエリート支配に抗議してきたのだが、そのこと自体は問題がない。問題は、それを行うために英国のナショナリズムを煽る必要があったかということだ。保守党とキャメロンは極右翼の台頭を許している。このことが問われているのだ。しかしこれは他人事とはおもえない。安倍の問題だから。安倍を原因とした互いに憎悪しあうアジア諸国の問題だから。政治のあり方について市民と市民が互いに自由に語り合うことは、争いごとに発展しないように避けたいが、民主主義のために欠くことができない。信頼関係を保つという前提で、そのこと自体は問題ではない。問題なのは、EU離脱キャンペーンの保守党の場合のように、政治家がそれを利用して、民族アイデンティティーの叫び声を忍び込ませることにあった。イギリスに取材に行った記者たちはいかに成熟した言論の国であっても、それがいかに危険であるかということをはっきりと知らせるべきだ。観光している場合ではない

 
本多 敬さんの写真