国民投票の意味 (5)

 

国民投票の意味 (5)

ロンドン元市長のボリスは、ギリギリ危ない言説をテレビの討論番組展開していたようだが、公にEU離脱派がメディアでどんな移民排除のキャンペーンを展開したかを詳しく知ることは難しい。例えば、移民にたいしてこれを吠える番犬が必要だみたいな酷い広告もあったようだが、こういうものは英国の報道規則に違反するとして放送されないからだ。ただしニュースとして扱われる。そういう彼らの影響力は、よく知られるように、レイシズムの小鳥たちがUkip, Ukipとさえずると新聞に揶揄されていたように、ネットにあった。だから、一つの階級がEU離脱派に扇動されたという事実のほかに、Brexitという国民投票の結果から積極的に何かを読み取ることが正直難しいと感じる。英国はEU離脱の問題を検討する公正な議論と正しい認識と選挙が必要という傾聴すべき意見も。啓蒙(!)を必要としたかどうかは別として、アイルランド国民投票を二度行ったのである。このなかで日本はBrexitをどう読むのか?最近日本の言説のなかにイギリスの民衆の存在を言うものもあらわれてくるとしたら、どうもイギリスという固有なものを実体化しているその曖昧な語り口は危ない。近世の荻生徂徠がブルー・プリントを作り、明治の近代から実現することになった、この意味で理念的設計に過ぎぬ現在の天皇制をあたかも古代から民衆が支えてきた日本固有のものと教える危険なナショナリズムと本質的に違わない。民主主義の方法論的問題を民衆史的ユートピアの実体に還元すること、安倍自民党のもとでなんだか危ない危ない....