ジェイムス・ジョイスの世界

No.1

ユリシーズ」の問題は、書く主体(ジョイス)を場所と潜在的な機能の多様性のうちに分散させる句切りである。ジャーナリズムは、大衆の間を吹き抜ける現代の風神の如き地位をもつが、戦争に対してはやはり駄目なのかという疑いをもっている章において、あえて、テクストは自己が投げ入れられた世界に「Hello...」という。はじめて答えるその返事が、ここから何百頁先のペネローペ挿話に書いてあるのはなぜか?(読むことの意味を作ることをやめないのはなぜか?)