現代アートとは何か

現代アートとは何か

感性によって対象が我々に与えられ、悟性は対象を考える。此処に経験というものが成り立つという。悟性は快・不快に結びつく対象を考えられないから、緩やかに感性に関わるとしか言いようがない(例えば、詩の芸術、物で書いた詩の芸術も含めた)。18世紀の人間の有限性の分析からは、このように説明される感性と悟性の関係の差異がそのまま、科学と芸術の差異として導かれる。この合目的性の言説から、感性と理念の間も説明できるか?芸術は、思考できないもの(無限)を思考する(世界は始まりと終わりがある)という主観性をもつのか。これは、人間が何ゆえに人間であるのかという問いかけを構成する。19世紀の文化的理念型へのこだわりはここに述べたカントの断絶の意義を見失ってしまった。20世紀に人間の問いが、ヨーロッパよりも遥かに広い地域的な普遍性をもって行われることになった。ただし「人間」という必要もないし、普遍性も一つである必然性もないということが認識されるようになった。現代アートの鑑賞にかかわる決定的な問題提起は17世紀の終わりから18世紀からはじまるといえるが、18世紀啓蒙的なものが同じようには完全な形で復活することがないのはなぜなのか。再びこれは芸術作品を介して思考を形成する。