「ドイツという国は存在しない」という戦後にいわれた言葉。この言葉から大きな衝撃をうけます。

 
  •  

     「ドイツという国は存在しない」という戦後にいわれた言葉。この言葉から大きな衝撃をうけます。アイルランドにすんでいればアイルランドという国しか存在しないとおもうからです。しかしアーレントとその「世界市民」の思想に共感をもつ者は少なくありません。思想は不可避的に文学論を通して語られます。「世界市民」と同じ意味で、国家がつくる「アイルランド語の文学は存在しない」と言ってきましたー国内追放か亡命の運命の覚悟で。アーレントも亡命しました。こういう危機的な時代だからでしょうか、カントの読みもちがってきたような...。「自己自身を世界全体とみなしてこれに専念するのではなく、自己自身を世界市民として振る舞う態度」(「人間学」)。ファシズムのときは、理念的要請すらも成り立たないところで人間は「世界市民」としてやっていけるのでしょうか?国内亡命の場所は?もはや概念が成り立たないなかで、人間の有限性の分析からその場所をどのように考えることになるでしょうか。逃げることができない思想の課題です―「日本という国は存在しない」と、歴史修正主義者たちに言うために...

 
画像に含まれている可能性があるもの:テキスト、1人以上