言葉と物のコンパクトな世界 No. 13

言葉と物のコンパクトな世界 No. 13

ドゥルーズもよくジョイスに言及している。ドゥルーズはなんといってもフーコの本が「宇宙第一の書」であった。プルーストとジョイスの本といっしょに、自分の本について語ってきた。「昔の流儀で読まないが、また昔の流儀で書きもしない」という。ここで、なにか積極的なものを読み取ろうとすれば、なんだろうか。価値のあるものは存続できない、価値のないものだけが存続することに驚きを禁じ得ないが、そういう柄谷行人とかの新聞が伝達してくるような文化権力に取り囲まれてしまっているなかで、反ー文化権力の言説をいかに書くのかという実験がはじまったということかな。

「われわれは昔の流儀で読まないが、また昔の流儀で書きもしない。本の死があるのではなくて、読むことの別の流儀があるのだ。一冊の本の中には理解することなんかなく、たくさんの自分に役立てることがあるのだ。何ひとつ解釈することも意味することもなくて、たくさんの実地検証することがあるのだ」