ジャン=リュック・ゴダールの世界 No.11

ジャン=リュック・ゴダールの世界 No.11

 

愛とは精神の極み。 そして隣人への愛とは、一つの行為。...

・暗闇が覆うイメージを指示することによって、ここで「隣人」の理念について語るのはなぜか。暗闇のなかで語らなければならない、ここでただし光ついて語るのである。顕現するよりも隠すものが多い、だれも入ってこれないひとりの部屋で。見えるものはどれも似非真実かもしれない場所で。(重要な古典的作品は忘れられていくばかりで、新しい作品も、時代と等価であるほどの価値あるものが、大量に作られていくなかにあるのかどうかを見定めることが非常に難しくなってきたという危機感が木霊しているようだ) 。ゴダールのナレーションは見える近いものに関するものである。もはや信頼できる隣人はひとりもいない。だからこそ「隣人」の理念化が語られる。繰り返すように、理念なくしてはもう人間はやっていけなくなるし、わずかでもそれがなければ精神性(わたしの部屋)すら成り立たなくなる。

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Gallimard