ジャン=リュック・ゴダールの世界 No.14

ジャン=リュック・ゴダールの世界 No.14

サイレント映画とは何であったのか?沈黙する映像の傍らで、スクリーンに投射された書かれる言葉(エクリチュール)こそは、’宇宙の全体’とバタイユが呼んだもの。スクリーンのエクチュールは、外部である。愛されるものの中では、客体として与えられる。それと同時に、内部である。愛するものなかでは、主体として与えられる。スクリーンのエクリチュールは、他者の声に対する支配を棄て去るためには、どうしたらいいのか?わからない。声に声を委ねること、声に意味を登録しないこと。多分、人間は他者である自らを世界に投射するときとおなじように。他者こそが暗闇の中心にあるものに違いない。その暗躍のショットは書かれる言葉の停止の兆し、言い出しの音が容易に発音できず又音が何度も繰り返されたりする、スイス訛りのゴダール自身の語りに道を譲る、よりよき言葉の兆しかもしれない。 

 

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L'appareil de projection, la cabine, et l'être humain qui se projette au monde. J'aime cette idée des hommes qui se projettent , au lieu de se rejeter. (Godard)