ジャン=リュック・ゴダールの世界 No.23

ジャン=リュック・ゴダールの世界 No.23

ドウルーズの思想は微分方程式フーコーのはルベーグ積分と深い関係があるといわれるし、デリダの哲学の記号論理学との関係を考えることもあるが、厚い本に書かれた彼らの思想にやっつけられないために数学に依存することが起きる。だが数学にやっつけられてしまうようでは、ドウルーズもフーコーも、デリダも彼らの固有名が無くなってしまう。ゴダールも百本以上の作品があるのは、思想家たちがかく本の場合と同様に、時代と等価のものを映画で作り出そうとしたに違いない。ゴダールは映画の本質を投射と捉えるから、ベンローズの射影論からその意味を考えることも必要だろうが、やはりそうすると、数学と物理学によって、思考道具としての映画が終わってしまうかもしれない。簡単には行かない。