ジャン=リュック・ゴダールの世界 No.31

  1. ジャン=リュック・ゴダールの世界 No.31

  2. ”真の暴力とは精神的事象である。およそ創造行為とは、それに手をかける人間にとって、現実的な脅威を伴うものである。だからこそ作品は、観客や読者の胸を打つのだ。重みも暴力も差し控えるようになった思想は、その不在によって解き放たれたあらゆる蛮行に、実りもなく身をさらすことになる” ード二・ド・ルージュモン「手で考える」(1936)

  3. 真の暴力とはなにかを問うナレーションで、なぜ、ハードコア・ポルノ、「フリークス」の笑う男、収容所の子供のユダヤ人の映像が、交互に示されるのか?ゴダールはポルノのイメージを利用してなにを伝えようとするのか?簡単にみえて、「映画史」のなかで読み解くの難しいイメージである。私の読みだが、ゴダールプラトンではなく詩人の立場に近いだろう。ポルノも想像力から来るものである以上、この想像力を小さな世界に傾斜させるのではなく、これを高い次元に拡張してやるという哲学(理念の要請)が呈示されるべきなのだ。恐らく高い次元とは民主主義。理念は収容所の映像に指示されている。ここでは、民主主義の批判的理性を隷属化させるなという理念だろうか。ネオリベ政治家たちの猥褻な自己宣伝のイメージ(ナチスが好んだ彼ら自身の仮装とか政治家のコスプレ)を拒んで、かれらのありのままの裸の姿で彼らを見ること、そのときその彼らが公の権力を自分のためにいかに濫用しているかをみてとらなけれならないと言っていると私は読んでいる。

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