原初的テクストとはなにか No.2

  • 原初的テクストとはなにか No.2

  • 17世紀の本を読むとき、これに、公理に基づいて展開させるという形で、解釈とかなにかを導き出して発展させるのが近代だとしたら、それは私にとって無理な事だ。私のようなものには進歩も生産もないから。生きるに値しない世の中にまだ生きているようなので、私は、それを、私の近傍にいる他の人となんとか読むことはできるだろう。しかし愛国者が死体の息を吸う感じで大地の過去を呼び出すことはない。というのは、近傍は国の外にあるから。この反時代的な近傍はこの時代に構成されることはないのである。17世紀に読む主体も読まれる客体もなく、差異なき領域「天」と差異の領域「道」の間を往復して止まることのない運動しかない。もっぱら垂直方向の21世紀だけで読むのではなく、水平方向の17世紀において読む為に、詩人の傍らで死者になるこのとき、反生産的と形容していいか分からぬような絶望と至福と共にあるが、これだけでも、過去を思い出すという活動は、未来から委ねられた17世紀における繰り返されない事件性といえようか