ジャン=リュック・ゴダールの世界 No.43

  • ジャン=リュック・ゴダールの世界 No.43

  • ’ハンドバックのことは覚えている。だが、砂漠のなかのことは覚えている。だが、一杯のミルクのことは、風車の羽根のことは覚えている。だが、ヘアブラシのことは覚えている。だが、並んだ’ボトルのことは、眼鏡のことは、一枚の楽譜のことは、鍵束のことは覚えている’

  • ・ヒチコックの前に、ハンドバック、砂漠のなか、一杯のミルク、風車の羽根、ヘアブラシ、並んだボトル、眼鏡、一枚の楽譜、鍵束は存在しなかった。ヒチコックが初めて、投射によって、それらを見せた、とゴダールは言いたい。それらはシナリオという論理の中で現れるのではなく、論理が不完全でも、不完全だからこそ?、記憶において現れるのである。スクリーンは記憶と事物の関係、また思い出されない忘却を呈示する。

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