口語訳「論語」を読む

  • 口語訳「論語」は読む人が多いのだそうです。原文の言葉がどのように解釈されてそのような訳になったかが説明されている場合は稀です。ほとんどの口語訳「論語」は、その訳を導き出した解釈を書いていません。平易な日常語になればなるほど仮名に依存しますが、本当はわからないままに、なんとなくわかったふりをしなければなりません。最近も、「人間愛」というキーワードにした口語訳「論語」がでていて、これが中々売れているようなのです。明示されぬ解釈と、モダンに構成された原理をもって、「論語」の本質を指示しても、だけれど、「人間的愛」という答えは、なにか空な感じがしてしまうのですね。「仁は畢竟、愛なり」とストレートに直に言って来る衝撃は、他者の立場に身を置くというこの究極的なことを言うには、この言葉ですら長過ぎるとするほどの、つまり遠回りしなければならないと感じるほどの、言葉の集中にあるとわたしはかんがえています。

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