ジャン=リュック・ゴダールの世界 No.45

  • ジャン=リュック・ゴダールの世界 No.45

  • 「映画史」は「アート史への言及」を行っているようにみえるが、そこで、まさか映画をアートに委ねるつもりはないだろう。他方で抽象性の彼岸へ行くアートの方も、ハリウッド偶像に溢れた作品を展示したくないのである。ただ、現代アートは現代数学のように、写像から喚起される問題を考えているみたいに、ゴダールやデュラスの映画は詩の如く、投射から喚起される問題を考えていることはたしかだ。アートは、互いに重なり合う関係する関係の錯綜性-モノとモノとの関係、事と事との関係、さらにこの二つの関係ーで、アートがなにかを問い続けるのは、映画が沈黙する映像、盲目の言葉で映画とはなにかを問い続けるようである。この関係は、アートと映画との関係も含むのである。決定的な多義性は、この両者の問いに、贈与があり意味づけがありそして原初性があることである。そしてアートとアートでないものの間に存在するのは、また映画と映画でないものの間に存在するのは、他との交換が不可能な贈与と意味づけと原初性であろう

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