200年前の1816年にロッシーニ「オテロ」が作曲されました。歌い手に見せ所を与える楽しいオペラですね。オペラとはなにか？私は知識もありませんが、歴史的関心から、オペラはバロックから生まれてきたことが強調されることは気になっていました。たしかに、イタリアのオペラは、例えばシェイクスピアに喚起されるという形でロマン主義の流れのなかで出てきたのです。イタリアのロマン主義は、ソクラテスの"無知の知"などがマンチック・アイロニーRomantic ironyとして捉えられたように、近代の啓蒙主義で構成されてくる権力から自立しようとした芸術運動であったというところに一応の答えがあるのでしょうか。ヴェルディのオペラは、ワグナーの近代に根をもつ個性化の方向(対抗的に、大地ー起源の方向を呼び出す)とは別の、むしろ不条理の世界の道化へ行くようにみえます。非作用(無関係性)・非状態(非二項対立)・非対象(生成する運動)の多様性の方向へ行くのです。(楽器の音が声に従属したり、あるいは逆のことが起きたりすることがヴェルディにないのであるとポストモダンの文化論的な言説が指摘しています)
