フェミニズムをたたえる

フェミニズムをたたえる

ポンペイは古代ローマの植民都市でした。ただ現在再建されている劇場は、古代ギリシャの半月型のものでした。イタリア人女性ガイドによると、半月型(半円)はメガフォンと同じ形で、(そのガイドが指を指して立っているところですが)円の中心に立つ役者の声が(吸収されずに)最大に響くように、つまり一番上に座る一番身分の低い人々にも聞こえるように、効率的に設計されているとのこと。例えば女性などは一番上に座らなければならなかったと説明したとき、一緒に案内を受けていたオーストラリア人女性から、「身分の高い家の女性もいたし身分の低い家の女性もいたというべきだ」という異議が出ました。それに対して、イタリア人ガイドは階級の視点で、全体として当時の女性たちが裕福な階層に従属する身分の低い階層を構成していたと主張したのです。実際に写真の劇場は、役者も男性、観客も男性という劇場でしたから、身分の高い家の女性の観劇は許されなかったのです。(ギリシャの民主主義と演劇は共に発展していきましたから、劇場に入れるか排除されるのかは政治的問題を構成します。)ガイドはそれを前提に、フェミニズムの視点で、キリスト教はこのギリシャ・ローマの不平等性に依存する社会構造を継承した事実を指摘しました。(富裕層の平均寿命は50代、貧しいワーキングクラスと奴隷の平均寿命はその半分の20代半ば、奴隷として連れて来られた娼婦たちのそれは20歳以下でした。‬)古代ローマは現在採用されているような合理的なものを作り出しましたが、他方で、階級の視点とフェミニズムの視点で批判しなければならぬような問題の原型があることをよく理解できました (例えば貧富の格差を解消しようとはしない貨幣経済への盲目的依存。トランプの時代においてこれについて批判的に考えることは十分に意味があるでしょう。) イタリアは南北問題があります。とくに近年深刻な対立が。北イタリアやローマの人々とくに分離を要求する人々の中には、南イタリアとその民衆を象徴するナポリを「crazy」と非難するものがいるのですが、どうしてそういうことを言うのかわたしには全くわかりません。