子安思想史

‪思想史というのは、知識の量できまってしまうような定数で組み立てられた学問のイメージがあったが、そういうのとは違って、子安思想史が定数を縮小し、同時に変数を拡張していくのは、なにが初めて言われたかという事件性を思考に導入するためである。子安思想史は「万葉集」はどう読まれたかを読むとき、(戦前と戦後を時代順序的に位置づける知識を縮小し)、「絶対名著」と指示される斎藤茂吉丸山真男(直接の結びつきをだれも言わなかった)を変数として扱いそこから従来の思想史の枠組みの中では考えられることがなかったこの事件の意味を言説的に明らかにする