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もう一つの近代 (講座「未完のナショナリズム」より)

もう一つの近代 津田の思想は<もう一つの近代>を仄めかす。現在の政治の行き詰まりを目撃するとき、津田の思想に惹かれる。天皇国体論的な戦前教科書は国民概念を古代に投げ出していたとき、津田左右吉は国民の名において「あそこには国民が無い」というふうに「古事記」を批判できた。だが「源氏物語」に向かって同じ様に国民の不在を指摘できるだろうかと昨日の講座「未完のナショナリズム」で考えることになった。国民文学となった「源氏物語」を貴族文学に押し込めてしまうのであった。探求している<もう一つの近代>から、あたかも同じ原理から何もかも説明するとなると無理な思弁性を帯びて近代を相対化できなくなるという問題を、発展していくこの思想に記述することになった。