‪昨夜は初めて能楽堂(代々木)に行った。隣の女性が読んでいた台本を時々覗きながら舞台をみていたが、そのうち書かれたものがどうでもよくなって、声の舞台ともいうべき超越した?異空間を茫然と眺める。これを見ながら、ドラマが衰退していったきオペラとは何かという問いがはじまるというが、この歴史を思い浮かべてしまった。古代ギリシャに古い起源をもつと考えられているが、実際にオペラが始まったのはバロックからであることはよくしられている。これと同様に、能も近代からしか始まらなかったのではないかと。「論語塾」の帰りの電車のなかで、中世の滅びの美学は消滅しきったと語っていた子安先生のご指摘についてかんがえていたこともあって、眼のまえに展開しているのは何か近代が自らを声の衣装を以て隠蔽した姿のようにみえた。それは伊勢神宮の建築の場合とおなじで、それほど間違った見方ではないとおもっている。