「共謀罪」を読む

1、現代思想スピノザに負いますが、彼の展開した古典的リベラルの思想を切り離してはいけないと思います。古典的リベラルの思想は、現代思想スピノザに見いだすような思考の豊穣な多様性がなく、文章も単調でフラットですが、非常に大切なことがいわれています。スピノザアムステルダムに運河がつくられていく時代に生きました。見逃すことができないのは、アムステルダムの運河とは運河以上の意味があったこと。運河とは社会の設計でした。そこで生活する人間の活動に関するヴィジョンをもたらしました。

 

2、運河にどんな他者が入ってくるかわからないが、他者を初めから「敵」とみなしては運河が成り立たないのですね。運河を作った意味を活かすために、最初にまずは信頼しようというのです。メタ運河ともいえる、この信頼の原則は市民と市民の関係においても成り立ちます。「明白かつ現在の危険性」がみとめられるまでは、市民は自由に社会に入っていけるということです。「信頼の原則」のもとではじめて人間は活動的になります。

 

3、ここで 「共謀罪」の、「明白かつ現在の危険性」がなくとも罪があるときめつけて罰してしまおうとする問題が明らかになるのではないでしょうか。「共謀罪」のような権力の恣意をみとめたときは、ウルトラ権威主義を批判する理性の自由な表現の活動ができなくなってしまう、表現の自由が侵害される、その結果、批判されなくなったウルトラ権威主義のもとで、他との交流によって成長する言語活動を憎んで人間の動物のように生存するためだけに生きている惨めな姿しか目撃されなくなるかもしれません。わたしが「共謀罪」に反対する所以です。‬