アインシュタインの手紙

君がピアノを楽しんでいるようで、父さんはとてもうれしいよ。父さんは、君ぐらいの年の子はピアノと大工仕事を追求するのがいいと思っているんだ。それこそ、学校よりもね。それらは、君のような若い人にとても合っているから。ピアノの先生から指定されなくても、自分が楽しいと思う曲を弾くといい。なぜなら、それがいちばん学べる方法だからね。楽しいことをしていると、時が過ぎるのも忘れてしまうだろう。父さんもときどき、仕事に没頭しすぎて、お昼ご飯を忘れてしまうことがある。I am very pleased that you find joy with the piano. This and carpentry are in my opinion for your age the best pursuits, better even than school. Because those are things which fit a young person such as you very well. Mainly play the things on the piano which please you, even if the teacher does not assign those. That is the way to learn the most, that when you are doing something with such enjoyment that you don't notice that the time passes. I am sometimes so wrapped up in my work that I forget about the noon meal. . . .

アインシュタインが息子に書いたこの一文を読む限りでは、学校中心ではなくて子供中心に考えようじゃないかといっているという感じにとりましたが。ピアノと大工仕事でなければ、自分の中から起きてくる楽しいものを引き出すのは難しいと思っていたかも?アインシュタインが子供時代の自らに答えたというか、これから自発性の人生を歩みだすひとたちに答えた文の性格ももっているとおもいました。ところでユダヤ人は自分たちは教育を大事にしてきたというプライドがありますね。アラブとの関係も教育を通して良くしていくことが可能だと訴えていたロンドンのリベラルなラビがいました。アインシュタインは、ヨーロッパ人としてのドイツ人としての出発はフロイトと同じで、コスモポリタンですが、イスラエルの大統領になってほしいといわれたり、社会主義としてのイスラエル共同体の可能性について擁護したり、亡命先のアメリカ時代は非難の集中砲火を受けたりという、時代的に政治アイデンティティ翻弄されるそのなかで、もう教育を拠り所にするしかやっていけないんだというかれの思いがこの文に書かれているのかもしれません。大げさにではなく、穏やかにさりげなくですがね。その内容は白紙というか、これこれをこういうふうに教えたりしたら効率がいいとかどうもそういう話だけじゃなかっただろうと想像しています。