フーコのルソー論 (引用)

「古典主義時代にて同じものをさらに新たな比喩形象によって名指すという任務を帯びていた文学は、やがてそれまで決して名指されたことのないもの、或いははるかな語の襞の中に眠っていたものを、ついに正当な語によって名指すという任務を帯びるに至る」。これはフーコ『言葉と物』よりの引用。例えば、ルソー『夢想』「第五の散歩」をみよ。ここで、フーコは次のようにも言っている。「ルソーは『告白』冒頭で「自己が今の自己になるのは時間の中でである」という先見の明ある認識を力説した。彼が自分自身の成長に力点を置いていることはマテシス・空間配置に基盤を持つ啓蒙時代のエピステメーから十九・二十世紀初期のそれの構成原理たる時間性と因果性へと至る転換の鍵となる要素だ。」)