ネオリベラリズムの思想

ネオリベの思想は、ハイエクに遡る。彼は17世紀から成立した近代の問題に直面していた。17世紀の近代から、自然の諸法則が何でも彼でも支配する言説が起きてきたときに問題となってきたのは、人間は何をすべきなのかという、人間であることの意味を問うことであった。社会を作って、価値を形成すること。共通のものを持たない主観同士にそれができるかどうか?何がそれらを現実化するのか。全体主義的<一>に委ねることなく。市場が明らかにしてくれるのは、ネオリベラリズムによるとほかならない価格だが、ハイエクにとっては17世紀から問われはじめた真実に関するものである。しかし今日における現実世界をみると、歴史は彼が言ったことと正反対のことを実現してしまったと言わざるえをえない。(今日の言葉に翻訳すると)社会というのは市場と同一視できないし、価格は価値として同一化することに無理があったにもかかわらず、フーコ「言葉と物」が示しているように、近代の時代に、ルールの規則ー表象の限界にあった知のあり方ーが変わったのである。そうして、後期近代ーネオリベラリズムグローバル資本主義ーに至って、言説の支配を通じて、知は、とうとう市場の法則に人間を隷属させることとなった。21世紀の問題は、17世紀の思想にたちかえって、この知を相対化していくしか解決がない、と、わたしはおもう。‬