全体主義

全体主義を批判するとき、全体主義が確立した物の見方のなかから別の見方をしなければならないが、それはいかに可能なのか?今日からみると、全体主義とは、他者を肯定する他者も存在しないし、他者を否定する他者も存在しないとする原理主義ではないだろうか。全体主義の問題は、それがいきなり大きな他者としてやってきたとき、大衆はそれに対抗してアイデンティティの決定を避けられなくなったという事実に存する。偶像の再興は、近代が発明したアイデンティティ<精神>、アイデンティティ<労働>、アイデンティティ<民族>にしかよるところがない。同一化に同一化する。そうして大衆はナチズムかスターリニズム、あるいは天皇ファシズムへ行く‬。