20世紀思想が20世紀思想であるためには

‪20世紀思想が20世紀思想であるためには 


20世紀の芸術と思想は、-ismで氾濫していると揶揄される。-ismである以上、-ismの間に共通なものはない。-ismは、20世紀のどこにも属するが、20世紀の部分となることはない 。懐疑主義啓蒙主義実証主義がそれぞれ、17世紀、18世紀、19世紀を代表するようなこの意味で、指示された何かの主義が20世紀を代表するということはないのである。ただ、70年代にあらわれるポスト構造主義 post-structuralismだけは、他の-ismと異なって、近代批判である自らを含めた-ism(理念)そのものの起源を問う方法論に自覚的だった。ポスト構造主義は、それまでだれも言わなかった17世紀後半から18世紀の啓蒙主義の意味をはじめていう。それは、普遍主義がただひとつではなかった、普遍主義は複数あったことを語る。21世紀から眺めてみたときに、新しく普遍主義を措定することによって、20世紀思想が20世紀思想であるためには構造主義でなければならない、といえるかどうか。‪20世紀後半のポスト構造主義の視点を以て、17世紀の『仁斎論語』を読むとはそういう意味である。‬