指輪の力とは?ー ワグナー「神々の黄昏」

ワグナー「神々の黄昏」では、<指輪>がジークフリートに、現在の王権を正当化する作り物語の語り手としての権力を与える?英雄(彼自身)がブリュンヒルデを救うという、主神ヴォーダンの統一を阻むに等しい行為を思いだす所で、ジークフリートはハーゲンに殺されてしまうのだ。
‪「神々の黄昏」のブリュンヒルデは世界の端にいる。ジークフリートの忘却の悲劇。世界秩序の存在すら知られない末法の世。だけれど、末法の世だからこそ、神々の支配する秩序がなくなる。そこでは目覚めは死。夢を発明し続けなければならないのかもしれない。と、新しく無から創造されてくる世界は、驚くべきことに、無であったその起源と非常に似ている。終わりから始まる反復。だがブリュンヒルデの神々の領域から書いた脱出線は無に至るとき、ヴォーダンを反復することはないだろう‬。