「人間宣言」

クーデターのテロリストたちは‪五箇条ノ御誓文に「王政復古」を書いた。京都から勝手に連れ出してきた天皇政治責任を押しつけることの問題とは、責任をもたぬ政府を成立させてしまうことにあった。今回「人間宣言」(昭和二十一年一月一日)をはじめて読んだが、その五箇条ノ御誓文から始まることには驚いた。「茲ニ新年ヲ迎フ。顧ミレバ明治天皇明治ノ初国是トシテ五箇条ノ御誓文ヲ下シ給ヘリ。曰ク、‬一、広ク会議ヲ興シ万機公論ニ決スヘシ」。戦後日本の民主主義は、五箇条の御誓文の第一条(万機公論)に内なる始原を見いだしながらその国民的定着がはかられていったと言われても仕方ない‬。小田実の嘆きが聞こえてくるのである。「この国・日本には、どうしてかくも常識はずれ、常軌を逸したことが起こるのか。いや、この国は引き起こすのか。」(2000)。その理由は、「人間宣言」に書いてある