宗教ナショナリズム

‪近代とは宗教の世俗化である。宗教とナショナリズムはそれらが住処とする国家において分離する。その国家は戦争によってしか解決しない領土問題をもつ。他方で、これとは別の歴史で、帝国主義の時代の絶えざる介入によって国家を形成できなかった地域で、領土を対象にもつ国家の近傍で、国家を住処としない宗教とナショナリズムとが結びつく可能性があった。現在こういう地域は、グローバル資本主義に抵抗しなければならないが、対抗国家を形成しても、イスラムを排除することではじめて成り立つという顕著な西欧の国家モデルをそのままで受け入れることができない(「伝統」を残す。近代日本のように「伝統」を死に切ったものとして忘れることはない。)これが、西欧世界と宗教ナショナリズムとの争いを生じさせるようにみえる。大まかにいうと、この争いは、宗教の世俗化というナショナリズムからは理解できない構造なのではないか、したがって無関心のなかに見えないようにさせられているものではないかと考えはじめている。