『フィネガンズ・ウエイク』

‪and there were, like a foremasters in the rolls, listening, to Rolando’s deepen darblun Ossian roll (FW)‬

‪「クオーク三唱、王マークに」で始まる第二部第4章。マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネという4人の福音書記者を喚起する語り手がトリスタンとイズーの「うねる(roll)」愛を物語る。「四人はと言えば彼らはうねる波間四本マスト船、公文書四管理官のように、ローランドの濃褐色の大洋オアシンのうねりに聞き入っていた」(宮田恭子氏訳)。これはどう解すか?誰かが語る愛しか存在しないように、言説の国家アイルランドしか存在しないのだろう‬。愛をはじめて語ったのは『フィネガンズ・ウエイク』、国家をはじめて語ったのも『フィネガンズ・ウエイク』。『フィネガンズ・ウエイク』のまえには、愛は人類に存在しなかったし、国家アイルランドは一度も存在しなかったのである...。‪このことを文の構成として考えてみると、イタリアとフランス、スイスに来ていたけれど国内亡命のような感じで反時代的で半透明な物が成り立つことになった‬