子安宣邦氏の講座『明治維新の近代・6』 ー 学んだことと考えたこと

子安宣邦氏の講座『明治維新の近代・6』

ー 学んだことと考えたこと

中国人研究者が質問したように、日本の近代化は音声化としての西欧の近代に集約されたとみられている。しかし明治憲法が自らに書くことが不可能な、支配的理念体系に転移されている「書経的」漢文的書記言語があるという。日本書記の「天照大神」が徂徠制作論と水戸学的国家神学の「天祖」概念に基づいて構成された。これは、名をつけてはじめて国家のあり方が成り立つという制作学的視点から明らかにされる事柄である。(私の理解が正しければ、) 明治の国家に定位するひとつの集中として人間が成立したのは、徳川時代の国家の近代を隠蔽してしまうような言語の拡散においてだった。天皇の主権と統治権を書いた明治憲法と、死者を主宰する権力が住処とする「書経的」漢文的書記言語の拡散