社会契約論

米国語しか知らないくせに、また、イギリスの英語のことも知らないのに、アイルランド英語は大丈夫かと心配して聞いてくる人が非常に多いのだけど、あれってなんだろう?アイルランド英語を知ってもいないこの類の質問にアイルランド研究者は当惑したり怒ったりしている。これは、資本主義=近代というマルクス主義の貧しい言説にいまだに絡みとられているので、世界の多数派である、資本主義の発展を奪われた国々の資本主義なき多様な近代も、明治維新の前の啓蒙的な近代も考えることが難しいのではないか。他方で、このことも大事だと思うことは、デモクラシーの近代はフランス革命以降に成り立ったと考えておくことである。多様な近代のあり方について考えていくにしても、‬一国主義的似非世界史がやるように、独自の近代に独自のデモクラシーを与えるようにはかんがえられない‬。ただし19世紀にデモクラシーの思想を為す社会契約論的な考え方は色々な形で唱えられていたのではないか。ヨーロッパだけではない。現在昭和思想史研究会は、子安氏のもとで、荻生徂徠とその影響を受けた水戸学後期に焦点をあてて、国体論の批判を行いつつ、取り組んでいる。