『コロノスのオイディプス』

ソポクレースΣοφοκλῆςの‪『コロノスのオイディプス』(Οἰδίπους ἐπὶ Κολωνῷ)に言及して、「オイディプスの逃走と(国内)亡命が示す純粋な線と一体化する」と分析したD&Gの一文。(「線」というのは、言説空間をあえて滑らかな空間と考えてみたらどういうことが言えるかとする問題意識から言われることなのだけれど、大まかにいうと、「逃走」が成り立つのは、支配的な物の見方(言説)の中でそれとは新しい物の見方(言説)によってということ。気になるのは、「顔の不在を覆う少女の仮面」とは何かだけど、そもそもD&Gがいう「少女への生成変化」は、少女の同一化などではなく、器官の変化をともなう形で少女になることをいう。それは不可能なので、生成変化は方法的に要請されるのであろう。「顔の不在を覆う少女の仮面」とは何か、「雑多なもの、非等質なものがことごとく召喚される平面、文字通り宇宙的にな平面 un plan propre ment cosmique, où tous les disparates et les hétérogènes sont convoqués

オイディプスは三つの秘密をたどる。まず、彼がその箱の中身を見破るスフィンクスの秘密。次にオイディプス自身の有罪性が示す無限の形式として、彼に重くのしかかる秘密。そして最後は、オイディプスをもはや誰の手も届かない存在に変え、それ自身もオイディプスの逃走と亡命が示す純粋な線と一体化する、あのコロノスの秘密。そのときオイディプスにはもはや何一つ隠すべきものがない。あるいは年老いた能の役者さながらに、顔の不在を覆う少女の仮面を残すのみとなる。ある種の人間は、何も隠さず、嘘もつかず、ただしゃべっているだけでいい。彼らは透明性によって秘密となり、水のように測り知れない、まったく不可解な存在になるのである。ところが他の人間は、厚い壁で秘密うぃ囲ったり、秘密を無限の形式に高めたりしたところで、結局はその秘密を暴かれてしまうのだ」‬

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