ゴダールの『探偵』(Détective 1985)

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ゴダールの『探偵』(Détective 1985)は、彼の初期の映画とは全然違っていて、ホテルの部屋のなかだけで事件が解決されなければならない。映画は風景の存在感がない。それはそうで、部屋のなかに風景がないのだから。音響の取り組みについて注意深く観察する必要があるらしいが、映像のほうは、どうも部屋の外へ逃げられない俳優たちの落ち込みとにおってきそうな疲労感がみえてしまうのだね。一場面の写真を見るとベッドの存在感に気がつくのだけれど、これは期待されていたものなのどうかはまったくわからない。まるで部屋の中から部屋に沿って部屋自身を語るような停滞。なんだろうな、これは!?