ゴダールとアンヌ=マリー・ミエヴィルの‪ 『ヒア & ゼア こことよそ』(Ici et Ailleurs 1974)

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ゴダールとアンヌ=マリー・ミエヴィルの‪ 『ヒア & ゼア こことよそ』(Ici et Ailleurs 1974)。 この映画はパレスチナという名を与えられることによって土地なき人民のあり方を問う、と同時に、土地なき人民を住処とする映画自らのあり方を再構成しようとして‪いる。映画は、「あちら」と「こちら」の関係をもつ思想によって成り立つ行為を要請する。そうして国家による思想の殺戮が明らかになるからである。近代の国家の問題は、「あちら」か「こちら」か、どちらかを<本来なもの>とする点に存する。パレスチナの声の「遠さ」を構成するのは、テレビ的な「こちら」からの「あちら」の切り離しによる。(現代国家はテレビが行う解釈のなかに存する。) 関係性は「あちらとこちら」の「と」を排除する言説によって<本来なもの>がする包摂のもとに無理に統合されてきたともいえるが、これに対して、アメリカを作るために獄中におかれた同然のパレスチナのインディアンたちとともに失われることのない外部の思想の決意を映画は宣言している‬。「ジガ・ヴェルトフ集団」の一部としてゴダールとジャン=ピエール・ゴランが1970年に製作した親パレスティナ映画『勝利まで』のフッテージを使用して製作された。ビデオが積極的に利用されている。