ゴダールの『映画史』( Histoire(s) du cinéma 1A 1B 1988 )

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ゴダールの『映画史』( Histoire(s) du cinéma 1A 1B 1988 ) の構想は、ラングロワが死んだ年である、1978年のモントリオールでの講座に遡る。『映画史』の課題は、思い出すこと。思い出されるのは、ひとつの歴史ではなく、現在を批判的に相対化する他にあり得た複数の歴史である。そのためには外部にある過去との関係をもたなければならない。それによって言葉は言葉として成り立つ。外部にある過去との関係を考えることができなくなったことを知らないためにトータルに考えることが不可能となっている自身の限界を言葉が端から問うことがはじまる。‬

トータルに考えることが不可能となっている本当に嫌な世の中だ。それは外部にある過去との関係を考えられなくなったことによる。過去を考えれば、普遍として確立した物の見方ではやっていけなくなってきたときそれとは異なる見方があったことがわかる。普遍はたえず再構成され得る。倫理的に一つに非ず。トータルに考えるために外部にある過去との関係を考えることは映画史の方法である。